咬合育成とは
お子様の歯並びや咬み合わせが正しく発達するよう、歯科医が中心となってお口の管理を行うのが「咬合育成」です。
当院では、0歳から始める咬合育成に取り組んでおります。
咬み合わせと身体の関係
自分の力で座れるようになった赤ちゃんは、次に「つかまり立ち」、その次に「独歩」ができるようになります。
「立つ」という動作ができるようになったとき、背骨や骨盤の左右のバランスが保たれていることが重要なポイントです。
土台となる骨盤や背骨のバランスが、その上にくる顎のバランスに影響するためです。土台が歪んだ状態で立ってしまうと、無意識に倒れまいとする力が働き、土台とは逆方向に歪んでしまいます。
顎の左右バランスの乱れは、咬み合わせ、呼吸、咀嚼、嚥下(飲み込むこと)機能に悪影響を及ぼします。また将来的には、顎関節症、肩こり、腰痛などの原因の一つとなり得ます。
身体の左右バランスが100%完璧に保たれるということはありませんが、その歪みを一定以内に収めていないと、さまざまな機能の低下、疾患を引き起こすことにつながるのです。
乳歯の歯並びの乱れについて
私たちが何十年と使う永久歯は、乳歯に誘導されて、その位置が定まります。
乳歯の歯並びが乱れる原因としては、顎や歯の大きさを含む遺伝的な要因を別にすれば、主な環境要因として「姿勢の悪さ」が挙げられます。
当院では、こういった根本的な原因にアプローチすることで、赤ちゃんの歯並びを適正なものへと誘導します。
歯並びの乱れの予防
小児矯正は、一般的に早くても5、6歳からのスタートです。
では、それまでにどんなことに取り組めば、歯並びの乱れを予防できるでしょうか?
『乳歯の歯並びについて』の項目で、その原因に「姿勢の悪さ」を挙げました。具体的に以下のような癖・習慣を改善していくことで、歯並びの乱れを予防することができます。
椅子に座るときの姿勢
浅く腰掛け、背もたれに背中の上半分だけを当てるようにして座るお子様がよく見られます。
深く腰掛け、背中を真っすぐにしましょう。そのためには、身体に合った椅子を使うことも大切です。
ゲームをするときの姿勢
特にポータブルゲームで遊ぶとき、背中が丸まり、上から覗き込むようにしているお子様がよく見られます。
正しく椅子に座るなどして、視線が下がり過ぎないよう、背中が丸まらないよう注意してください。また、長時間同じ姿勢でいることもよくありません。ゲームは時間を決めて、外遊びにも誘ってあげてください。
食事の姿勢
椅子の座り方、背筋を伸ばすといったポイントだけでなく、足をぶらぶらさせないことにも注意してください。不安定さが、上半身の姿勢を乱します。
ダイニングテーブルを使用されているご家庭のお子様向けに、足置き台がついた椅子なども市販されています。
頬杖、うつぶせ寝
頬杖、うつぶせ寝は、顎や背骨の左右どちらかに偏った負荷をかけ、身体のバランスを乱してしまいます。
※呼吸器疾患などがあり、医師からうつぶせ寝を指導されている場合は、その指示に従ってください。
爪噛み・口呼吸
爪噛みや口呼吸といった、一見歯並びとはかかわりのなさそうな癖にも要注意です。
歯は、外からの力と内からの力が均等であってこそ、垂直を維持します。爪を噛んだり口で呼吸することで、内から外へと力が働き、出っ歯や受け口などの歯並びの乱れを引き起こします。
0歳からの咬合育成
抱っこの方法
赤ちゃんの頭部は身体の割に重いため、頭部だけが下がったような抱っこは、首に大きな負担をかけます。首の近くには、舌、口、喉の機能と関係のある神経・筋肉があるため、余計な負担は避けなければなりません。
頭部を支えられるように、横抱っこをしてあげてください。
授乳方法
適切な哺乳とは、大きく口を開けて、乳房を深く捕え、舌を使った蠕動運動で母乳を飲み込むことです。
助産師などと連携しながら、適切な哺乳ができるようアドバイスをいたします。
離乳食開始のタイミング
赤ちゃんの舌、唇、顎は、母乳やミルクを飲む動作の中で、次に必要となる“食べる機能”が正しく働くよう準備しています。
離乳食開始の目安としては、母乳ミルクを満腹になるまでほぼ15分位でしっかり飲め、自分の力で座れるようになった頃が良いでしょう。
月齢が達したからといって離乳食への移行を急ぐべきではないと考えます。
寝かせ方
うつぶせ寝は、顎や身体の左右バランスが崩れる原因になります。特に赤ちゃんは骨もやわらかいため、顔貌に影響することもあると言われています。
呼吸器疾患のためにうつぶせ寝を指導されているなどを除き、健康上の問題がない赤ちゃんは、できるだけ仰向けで寝かせてあげるようにしてください。